2015年11月12日 11:26

テレビ通販と保険営業

保険毎日新聞のコラム公開シリーズ。
テレビ通販番組を、私が実際に見た時の、自分の心理変化の過程と、保険営業を対比させながら、購買心理を知る〜、というような内容。
あのテレビ通販の商品、今でもほしいよう!(*゚∀゚)っ


■テレビ通販と保険営業

 今回は、人がモノを買う時の心理について考えてみたいと思います。

 先日テレビを見ていたら、テレビショッピングで便利なキッチン用品の宣伝をしていました。その時わたしは、(これがあれば便利だろうなあ)という感想を持ちました。



 しかし「あれば便利」というだけの理由では、人は物を買う決断をしないものです。

 保険に置き換えると「保険に入っておいた方がいい」という理由だけでは、人は実際には保険に入らない、ということです。

 そのままなんとなくテレビ見ていると、実演映像が続きます。その商品は高機能なスライサーでした。野菜を様々な厚みにスライス出来て、1ミリ以下の薄さから5ミリ幅まで調整可能。次々ときれいにスライスされる様々な野菜の映像が流れて、料理好きのわたしは少し心が動きました。

 保険営業に置き換えると「もしもの時に、このように便利」という説明をすることが、これに該当するでしょうか。

 次に、このスライサーはワンタッチで千切りが出来るという機能が紹介されます。スライスだけでもこんなに便利なのに、更にまだ機能がある、ということに感心する思いになります。

 保険営業では、「さらにこんないいことがある」という何かを伝えるという部分です。もしも入院したらいくら受け取れるのか、あるいは新商品が出て以前よりもこんなに良くなった、または今なら保険年齢が上がる前なので安く加入できる、というように「複数の理由」があることが大切です。

 テレビをここまで見て、わたしはテレビ通販のマーケティングにすっかりハマっている自分に気が付き苦笑してしまいます。つまりこれは戦略だと認識をしたわけです。しかし戦略だとわかっても、一度動き出した心は今度は簡単には止まらないのです。買いたいという欲望が段々大きくなっていきます。

 テレビでは次に、人気の料理研究家がインタビューされて「わたしも愛用しています」と答えるシーンになりました。

 ああ大変です。わたしは、もう買わずにはいられないという心境へ動いていきました。あったら便利かもしれないという軽い気持ちから、買いたい、という強い欲求に変化したわけです。

 保険営業に置き換えると、実際に保険に入っていて助かった人の事例を見せたり伝えることがこれに当たるかと思います。その人が、顧客の知っている人ならなおさら効果は高くなるでしょう。

 実は、ものを買う決断をさせるためには、このようにたくさんの理由が、あればあるほど、人の心理を買う決断へと向かわせるのです。保険営業でも、同様に顧客に複数の理由を感じてもらうことが大切です。

 さて、テレビでは次に「なんと、今なら1つの値段で2つ手に入るキャンペーン中!」と商品を2個並べた映像がドーンと表示されました。

 これぞテレビ通販の極め付き販促方法ですよね。そういうことは充分わかっているので(でた〜!!)と思いながらも、わたしはもう一つを誰かにあげたりすることを想像し始めました。2つも必要ないはずなのに不思議なものです。
 ちなみに、テレビ通販の世界では、単体で販売するよりもこの「2つセット」の方が、販売数が圧倒的に増えるそうです。または「今ならこんなオマケが付いてくる」という本来のものとはまるで無関係のものを付けることも、同様な効果があるそうです。

 これは今までの、“あるとこんなに便利”という複数の理由に加えて、最後に、これまではとは違う局面からのアプローチをとることにより、一気に買う決断をさせる、という営業手法です。

 保険を2本で1つの値段にすることは出来ませんが…(でも、もしもそうできたらとても売れそうですが)、そうではなくて「最後に少し違う局面からのアプローチを仕掛ける」ということが重要です。それが一気にクロージングを成功させるコツだからです。最後に顧客の背中を押す、それは営業上必要となるテクニックです。これがうまくできないと、いいところまではいっても契約に至らない、ということになるわけです。「詰めがあまい」と表現されたりしますが、思い当たり方もいるのではないでしょうか。

 ところで、テレビショッピングのこうした宣伝方法は、皆さん何度も目にしていると思いますし、もちろんわたしも知っています。一見しらじらしく見えるような方法でもあります。

 しかしそれでもわたしの心が動いた理由は、最初に「あれば便利かもしれない」と軽く思ったことにあります。そう感じた、わたしのような人にとっては、それがたとえよくある販売手法だと充分わかっていても、いつのまにか買う気満々にさせる、非常に効果の高い販売方法だということです。

 つまり、最初に書いた「保険に入っておいた方がいい」と思っている人と出会うことが、実は営業上一番大切なことです。それだけでは人は保険に入る決断はしませんが、しかしそういう思いが全くない人よりも格段に顧客になる可能性が高いからです。そういう人にたくさんの人に出会うことこそ、営業で成功するための第一歩なのです。

 ところでわたしは、寸前のところで横から娘に「お母さん、似たようなものを持ってるよね?これ買ったらダメ」と釘を刺されて思い留まりました。
 
でも実は、今でもほしいと思っています(笑)人の購買心理とは面白いものですよね。

(保険毎日新聞コラム「生保営業のひよこ」2015年1月掲載)



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