一昨日、生保販売チャネルフォーラムでプルデンシャル生命保険の元社長・河野一郎氏が講師をして下さったことをブログにも書いた。その話の内容には、興味深いテーマがいくつも含まれていたが、ひとつ結構ピンと感じるようなものがあり、それは「クロスセルは成功しない」という話であった。

ずっと前から「クロスセル」は事業なり企業なりを衰退させるだけではないだろうか、ということをなんとなく感じていたので「あ、同感!」と思わずピンときたのである。

クロスセルってなんじゃらホイと思う方に説明すると、クロスセリング=縦横に売るってーことで、つまり色々な種類のものを売っちゃいますよ〜という意味。八百屋さんのように野菜という単種類のものを売るのではなく、野菜も肉も洋服もオモチャも家電も売ってる百貨店のようなモノをイメージして頂くとよいかも。

保険分野で言えば、保険も売るが、投信商品とかコンサルとか、いろんな商品も全部売っちゃいますよーというのがクロスセル。細かいことを言うと一社の保険商品だけでなく、何十社もの商品を売ってる乗合代理店なんかも一種のクロスセルだし、デッカイ話で言うとAIGはアメリカ本体は元々損害保険会社だったけど、生保に証券にリース業にと色々クロスセルして巨大化し、その上失敗した良い例かもしれない。

今、生命保険は銀行でも売っている。金融自由化という政府の政策のもと、銀行での保険販売が解禁されたからである。保険だけでなく投信商品なども売っているし、正にクロスセル。しかし、出足はイマヒトツ。そんなモンだろう。

販売商品の種類を増やすことで金融機関などの企業は巨大化していくことになるので、大きな企業にとってはそれも一つの経営戦略という面も確かにあるとは思う。しかし、それを扱うのはあくまで人間個人個人であrり、保険代理店などは小単位の会社が多いので、クロスセルは向かないと私は思う。

それに、保険屋さんで大成功してるお金持ちな人は、一社の保険をシャカリキに売っている人に多いのが現実である。

なぜクロスセルは失敗するのか。
私が感じているのは、人間が仕事に関してプロとして把握し覚えられる知識や経験値の幅には限界がある、と思うから。

現在、零細企業な我が社で取り扱っている保険会社は4社。この4社商品の細かい規定や、加入方法の流れの事務実務からシステムまでが全部違うという状態なので、まぁ4社が限界だと自分でも思う。(4社でも忘れることが多いし・汗)
そんなアタクシも、数年前までほかの代理店と業務提携してた時は10社以上の保険会社商品を取り扱っていたが、ぶっちゃけ覚えられないことだらけ!とりあえず商品は覚えたとしてもシステムや事務規定まではとても無理。毎回、思い出すのに難儀したものである。

そうやって多数多種類の商品を取り扱う程、どれもこれも覚えきれないジレンマを感じたし、1社や1商品にかける情熱のようなものは薄くなっていくことも実感してきた。

人は知識が分散されると技術力も情熱も下がる、というのがアタシなりの結論。故にクロスセルは失敗する。

日本には昔から、「餅は餅屋」という言葉があるじゃん。
さすが昔の人は本質を突いている。