昨年後半に、新規営業するもことごとくアウトなことが続いてチト疲れる、という経験をした。空振りが続く時は続く。

ある尊敬する経営者さんが「そういう時は我慢の時だ」と言っていたのを思い出す。

その人の会社は社員ゼロで、しかし仕事では多数の人と協業しながら大きなプロジェクトをこなすというスタイルを取っている。動かすケタも業界も私とは全然違うけれど、仕事のやり方や考え方が自分とどこか似ている部分があると感じてきた。

例えば、仕事には良い時も悪い時もあり、良い時はやがてくる悪い時に備え、悪い時はそのうち来る良い時に備える、というような中期的な思考を持つようになったのもこの人の影響かもしれない。

また一番興味を引かれたのは、この人が自社を大きくするという考えを全く持っていない点だった。本人自身に技術と実績と人脈があるからこそ出来る技ではあるけれど、すべての仕事を外注とのネットワークでこなしているため、人材育成のための先行投資を全くせずに会社運営をしていて、非常に効率的である。

そして、誰にも属さず生きて、常に自由。

そのかわり、仕事がうまくいかない時でもひとりで耐えて責任を背負う覚悟が必要となる。それが自由の代償であり、だからこそ「そういう時は我慢の時」なのだろう。

この社長が私に何かを教えようとしたことは一度も無いので、私の勝手な解釈も含まれていると思うが、私がこれからも、自分の腕一本で自由を貫いて仕事を続けることを覚悟できるのは、同じ手段で前を歩いているこの人のおかげかもしれない。

神様は私に、組織というものの中で生きる術を与えてくれなかったけれど、その替わりに、孤独に耐える強さと自由に生きる幸せを与えてくれたことを自覚して、欲を棄てて仕事をしていこうと思う。