2007年01月05日 12:53

生保業界動向

1月3日付読売新聞で「大手生保4社で医療特約などの不払いが約1万件にのぼる」との発表があった。生保系出身の私としては、これはかなりショックな記事。

具体的な内容を見ると、手術給付金の請求が無かったので入院給付金分しか支払ってないとか、請求が入院9日分だったのでその通り支払ったが本当は10日分が正しかった、というような「請求されていないから払わないヨ」的な内容である。

これは「請求されてないからネェ」と意図的なのか、それとも「見逃してしまった」という人的ミスなのか、その辺が定かではないけれど、それにしても件数の多さを見る限り不信感は否めない。

損保業界の相次ぐ不払い問題で業界体質を問われた昨年。そして新年早々に、生保業界までも・・・というスタートとなってしまったことが残念と感じる。


大手生保業界は、10年前に金融自由化(金融ビッグバン)の方針を打ち出した時から体質が様変わりした。それまで、守られた環境と好景気の波の中で、お客様本位の発想が定着していたけれど、ビッグバンとバブル崩壊を皮切りに保険会社は自由化の自由どころか、自社を守る保守的体質へと変貌した観がある。社員や営業職員に、会社主導の指示に従えという風潮が強くなり、イエスマン的な社員と営業職員が生き残る風潮が強くなっていった。

その悪影響のツケはこれまでも色々な場面で見え隠れしていたし、昨年の明治安田の大量不払いはその最たるモノと感じたけれど、今回の大量不払い問題もその一環と感じる。自社の保守や健全経営も大切だが、「信頼される企業」という前提が無ければ意味をなさないことを忘れないでほしい。


しかし希望もある。

昨年、業務停止という重い措置を受けた明治安田は、経営陣を一新し、体質見直しと信頼回復に向けて取り組む思いが伝わってくる。また4日付けの記事で「事務部門の3200人「派遣」を「契約社員」に」というニュースもあり、ベテラン層スタッフが長く安心して働ける環境を整え、顧客対等を強化したいという発想の表れと感じ、こういう記事を見ると嬉しい気持ちになる。

明治安田がこんなに頑張っているのだから、その他の大手生保会社も是非これに続いてほしい。

生保・損保共に、今年が産まれ代わりの一年となるよう願っている。



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