2005年09月05日 01:09

母子家庭への支援

某公的な書面に「母子家庭の相談員」として、私の電話番号が載っている。自分の経験を活かして少しでも社会貢献が出来れば、という理由で引き受けていることだが、そういうわけでそれを見た人から時々電話相談がある。

電話というのは時間を選ばすいきなりかかってくるし、相手も悩んでいて心に余裕が無いせいか、こちらの状況におかまい無く一方的に話す人、というのが非常に多い。

そして、今まで受けた相談のすべてが仕事の悩みで、職場からの解雇や就労条件の悪さへ等の、苦情・愚痴・不満をまくし立て、気が済むと一方的に電話を切るという具合で、まるで全員が同じ人物でかと思うほどに毎回同じパターンである。

というわけで、私も毎回似たようなアドバイスをすることになるのだが、その内容は、「今は誰もが就職難な時代ですから、母子家庭で残業が出来ないことや時間的な制約があっても、それ以上に”自分はこういう面で頑張れる”というアピールと、熱心な姿勢を伝える努力をすることが大切ですよ」というようなものである。

しかし相手は自分には全く非が無いという言い様で、自分を採用しない企業や、解雇した企業への不満ばかりを訴える。

母子家庭だからと差別されることは確かに不当なことだ。その狭間で苦しむ経験は母子家庭歴13年の私自身、過去に何度もしている。だから気持ちは本当はよくわかるし出来ることなら助けてやりたい。

しかし、人並み以上の努力を繰り返さずして母子家庭のハンディを引き受けてくれる企業なんてそんなにあるものではない、それが現実だ。

そして、母子家庭の母親が子どものためにすべてをかけるのと同じように、経営者はみんな、人生をかけて企業を維持していることを知るべきである。


与えられることだけをまるで当たり前だと思って生きている人には、私のアドバイスは全く通じない。もっと言えば、そういう人には、その電話のために私が夕食作りを中断し、その横で娘がお腹をすかして待っていることなども予想すらつかないだろう。

厳しい意見だが、そういう人物を企業が喜んで引き受けるとは思えない。


少しでも社会貢献できればという気持ちとは裏腹に、本当に誰かの役に立つのは難しい。数時間も愚痴を聞かされていると、空しい時間を過ごしていると思う時もある。

しかし諦めたくは無い。いつか、ひとりでもいいから、ほんの少しでもいいから役に立てれば、という気持ちを絶対に捨てたくない。誰かを助けることとは、耐えることと継続することから始まると思っている。

もしも母子家庭を採用して、裏切られる経験をしたことのある経営者の方がいたら伝えたい。それでもまた機会があれば母子家庭の人を採用してほしい。その母親の後ろには、母を支えようとする子ども達がいる。

いつか、経営者の熱い思いを理解する母子家庭の母親が現れ、懸命に仕事をしてくれた時、本人はもちろん、その子どもがもっと幸せになれるから。

 



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